コラム

COLUMN

  • 2022/08/13

    ヨガの歴史

    私たちの知っているヨガはそもそもどこからやってきたものでしょう。何のために・どのような目的で行われていたのか。ヨガの歴史をさかのぼってみましょう。そこには宗教の影響が強く現れます。宗教に影響されながら、また社会情勢に寄り添い進化を続けてきたヨガに生命力を感じずにはいられません。



    ヨガはいつ生まれたの

    ヨガらしきものが生まれたのは紀元前2500年も前のインダス文明のころ。モヘンジョ・ダロ遺跡から出土されたものに今でいうヨガをしている姿などが確認されました。当時は修行の一つとして瞑想やポーズが使われていたようです。

    インドの歴史を振り返ると侵略や戦争がたくさん出てきます。土着の民族が暮らしていた場所に新しい民族が侵略してきて戦争が起こります。

    土着民族が長年信仰してきた宗教と新しい民族が持ち込んだ宗教が争い、勝ち負けの中でそれぞれが生き残ろうと時代に合わせた変化をしていきます。

    まるでウィルスのようですが、宗教自信に人格があるわけではありませんので、利害関係を持つ人間が操作していたということになります。

    このようにして、宗教によって有利になる人間がいて、宗教の結束力や上下関係を用いて民族をまとめ上げていたという時代。


    一方、一般民にとっては、宗教=道徳や規範といった社会やパーソナリティをも構成する強いものでした。

    さて、紀元前1500年ころには北の方からアーリア人がインドに侵略を始めます。このアーリア人はバラモン教を信仰していました。


    どういった宗教かというと、社会には4つの階級があって神に仕える司祭者は最上級であるという考え方を持ちます。バラモン教の司祭者が一番偉いわけです。


    このバラモン教が紀元前1000年ころに経典をまとめ上げました。これをヴェーダ祭典と言います。

    祭典は長年言い伝えられてきたことが書き留められて集まったもの(〇〇ヴェーダがたくさんあります)なので、様々なカテゴリに分かれています。


    バラモン教の教え(ブラフマニズム)を基にした社会規範や祭式の方法を伝授するというイメージでしょうか。


    ブラフマニズムは絶大な支持を受けて広がりを見せます。そこへ仏教が入ってくるのですが、この仏教に戦うためにはバラモン教は姿を変える必要がありました。

    バラモン教は時代の人々に必要とされる型へと調整をしながらそののちに土着の民族や宗教を吸収・変化させながらヒンドゥー教になっていきます。

    ここでわかるのは、ヒンドゥー教は創始者がいるわけではなく、様々な宗教が複合・変化してできた多神教であるということです。


    ヒンドゥー教の経典にもヴェーダがあります。上にも述べたようにヴェーダは師から弟子への言い伝えをまとめ上げたものです。


    たくさんある経典の中でも代表的なものと言えばバガヴァッド・ギーターです。戦場に向かう王様のアルジュナと師(メンター)のクリシュナの会話がストーリーになっています。


    困難に面したときどのように考え行動するかを説いたものです。教えはヨガ哲学そのものなのですが、どのように考え・自分を律し・高めていくかのハウツーが説明されます。

    トレーニングには精神的な側面と身体的側面の必要性が語られ、これが修行や瞑想などで実現されます。ヴィヤーヤーマ・ヨーガとか、バクティ・ヨーガ、マントラ・ヨーガなどいろいろありますが、「愛や信仰心を持ちなさい」とか、「運動をしなさい」というものがあります。


    どれも健康な身体を持って社会に貢献し、また自分を律し高めるための行為(ヨガ)であるとされています。


    目標やゴール



    いろいろと難しいワードが出てきますが、要はより良く生きるためにヨガをするということ。では、ヨガを始めるとしましょう。

    (運動のヨガだけではなく考え方のヨガも含む)自分はどの程度まで自らを律せているかを知りたくなると思います。

    同時に何をゴールにして頑張ればよいのかという目標も必要になってきます。そこでアシュタンガヨガというものが出てきます。

    「アシュタンガ」は「八支則」と訳されます。ゴールまでに8ステージあると想像してください。

    1番目のステージは人間として当たり前の社会ルールが守れている事。たとえば人を殺めないとか盗まないということです。

    2番目のステージは自分を高めようと努力できている事。例えば体と心を健康で綺麗に保つ頑張りをしていることなどです。

    3番目のステージで実践のヨガが出てきます。ヨガのポーズを練習して心と体を鍛えること。4番目が呼吸を整えること。

    5番目が感覚を研ぎ澄ます事。6番目が意識を集中させる努力や練習をすること。

    7番目は努力が報われ集中がぶれない状態。あれこれ悩まずすっきりした状態です。8番目が達成感に満ち足りていて幸福な状態です。そう。この幸福を目指してヨガをしましょうということになるわけです。


    これは私の見解ですが、アシュタンガの8支則は社会を構成する上でとても理にかなっているなと思います。

    1ステージは社会ルールでしたね。これをクリアすれば社会が平和になります。戦争や奪い合いがなくなるわけです。


    その後のステージでは自らを高める練習をしますし、健康のために実践のヨガをします。健康な人々であふれた社会は産業も文化も活発になります。


    社会が活発化すると格差が生まれストレスが問題化します。そこで呼吸を改め、心を落ち着かせストレスを開放します。8ステージに近付くと自分の目標ややるべきことがはっきりと見えてくる状態になるので人生観が確立してきます。


    たとえカースト制が敷かれた世の中に生まれたとしても、自分の行いによって幸せは掴めるということを表しているように思います。


            

    カースト制

    バラモン教の時代からヒンドゥー教へと姿を変えていく中、カースト制度はそのまま引き継がれました。

    (1950年にカースト制度は撤廃されましたが、残念ながらその思想は根深く人々の中に引き継がれていることも確かです。)

    では、具体的にカースト制度というものがどういったものなのか考えてみましょう。

    人々の階級を定めたものをヴァルナと言います。ヴァルナは色という意味がありました。このヴァルナは4つの階級にわかれています。

    最上階級のバラモンは司祭者や僧侶を言います。次がクシャトリアで王族を言います。その次がヴァイシャ商人や農民です。

    最後がヴァイシャで労働者や奴隷を言います。さらにダリットは人間として扱われないので4つの階級にも入っていません。


    カースト制ではその階級に生まれると階級を変えることはできません。つまり親から階級を引き継ぐしかないことになります。

    しかし、現生の善い行いによって来世は階級を上げることができるという考えです。現在の階級は前世の行いの結果であるとも考えます。

    努力によって今を変えることはできない。なんと無情ではないでしょうか。


    親から引き継いだ身分を受け入れ、来世に向けて真面目に頑張りなさいという教えです。こういった思想によって人々の生活がコントロールされていました。


    下級に生まれた人々は一生出られない箱にいれられているようなもの。上級人の楽園になるのではないでしょうか。

    さて、生まれつき階級は変えられない。しかし、良い行いで来世はより高い階級になれるかもしれない。


    この思想はヒンドゥー教の輪廻転生が後押ししています。※カースト制度に反対する仏教が生まれましたがその仏教をも取り込む形でヒンドゥー教が勢力を拡大していきます。そのため仏教とヒンドゥー教は同じようなアイデアを共有しています。


     

    輪廻転生 

    輪廻転生はサンスクリット語でサンサーラともいわれます。

    命は何度も生まれ変わっていくという考え方です。

    前世や来世という考え方ですね。インド哲学ではカルマという考え方があるのですが、生きている間の行いがカルマとして評価され転生の結果となると信じられています。

    例えば盗みや嘘をついて生きていると来世はカエルやヘビに生まれ変わるというようなことです。レベルダウンして生まれてしまいます。

    そして生まれ変わることは「苦」であると考えます。目指すところは生まれ変わることのない魂の自由さであると。

    そのためには良い行い(カルマ)を積み重ねて転生しないように努力するとされています。



    現代のハタヨガ

    宗教の教えや修行としてヨガが始まり男性しかできないものでした。

    しかし1930年ころにはハタヨガという新しいジャンルが生まれ女性もヨガをするようになりました。

    それ以来、ヨガは宗教とは異なる心と体の健康を得るためのメソッドとして広まっていきます。

    ハリウッド女優やビートルズなどのアーティストが愛用したということもありヨガブームが始まります。

    まだこのころには精神性を重んじていた毛色がありましたが、1980年代にはいりフィットネスやジムブームが巻き起こるとトレーニングとしてのヨガが確立されるようになりました。

    そして2000年代に入り社会はフィジカルだけではなくメンタルの健康を重視するようになってきました。

    そこでヨガが呼吸法やメディテーションによってメンタルのケアができることが注目され続けています。現代人は宗教という精神性の効果ではなく科学的効果を求めていることが分かります。

    2020年に入り、Covid-19猛威を振るい感染症対策や社会情勢が国際問題になっています。感染症対策として個人レベルでは感染しない対策をすること・免疫をつくることが大切です。

    免疫を高めるためには自律神経を整える事や幸せを感じることが重要です。

    その点においてヨガはマスクや手洗いに次いて感染対策としても大変有効であると言えます。


    まとめ

    ヨガの本質を知りたくなったときに出会うヨガ哲学や宗教の歴史ですが、現代人としてのパーソナリティをしっかりと持った上で学びを深めてほしいと思います。

    宗教をベースとしたヨガ哲学をそのまま現代に当てはめることはできません。わたしは思い悩んだり苦しい時にヨガ哲学を思い出します。

    そうしたときに新しいアイデアが浮かんだり物事を上手く理解することができたりもします。要は上手く使えばよいという事。

    ヨガは時代を経て「しなければならない」ヨガから「するとイイ!」ヨガへと変化をしてきました。

    ヨガを探求してもっと良い形を探し続けること。未来へ、ヨガのバトンを握っているのは私たちだと思うのです。


    筆者 株式会社アヤボディアーキテクチャー代表取締役 橋本彩
    「生活にフィットするヨガを」を理念にヨガインストラクター養成校を経営。
    2007年以降、卒業生は数千人を超えました。卒業生が今のヨガ界をリードしています。

    School

    アヤボディアーキテクチャーは東京校、神戸校、名古屋校、福岡校の4校で授業を行っています。またオンライン校での授業もご参加いただくことができます。週末だけ神戸校へということもできます。各校に専門講師がたくさん所属しています。例えばアロマヨガインストラクター養成講座は福岡校と神戸校では講師が異なります。

    そのためカリキュラムも違ってくる。講師の数だけカリキュラムも異なるということ。ヨガは指導者が異なることに新しい学びや発見があります。同じようにヨガインストラクター養成講座に通われているメンバー(生徒様)が毎回異なることで新たな経験や学びがあるのです。アヤボディアーキテクチャーの授業はいつも違ったメンバー(生徒様)が集います。受講関数やレベルもまちまち。その多様性が応用力や柔軟性を養ってくれていると日々講座を通して実感しています。

    Videos

    動画で見る学校紹介

    「授業はどんな感じ?」「先生は?」「初心者でも大丈夫?」など、学校紹介動画を見れば不安が解消します。
    アヤボディアーキテクチャーのヨガインストラクター養成講座は少人数制で、テーマごとに、みんなのアイデアを持ち寄って進めていく授業は、”講義”ではなく、まさに”研究”です。
    だから、2回として同じ授業は出来ない。2回として同じ答えは出ないんです。私たちは個性を尊重し、個性を伸ばす授業をしています。十代の生徒様もいれば定年退職後にチャレンジされた生徒様もいます。職業や経歴もまちまち。ヨガの経験もゼロ~25年など幅広い方がヨガインストラクター養成講座に集っています。
    それぞれみんながアイデンティティや個性を生かしてヨガを深めること。経験や専門性にヨガをプラスアルファさせて新しいものを作り出していく。そんな多様性あふれる空間で、それぞれをヨガでつないでいく楽しさややりがいは参加してみないとわからないもの。そのほんの1シーンにはなりますが、実際の授業の様子や、講師先生のコメントを動画にしました。

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    AYA BODY ARCHITECTUREは、国際的なヨガ資格発行団体である「全米ヨガアライアンス」の正式認定校。インストラクター養成機関のパイオニアです。
    日常に取り入れてもらうためのレッスンから資格取得まで、ヨガに関してあらゆる面でサポートいたします。

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