ヨガインストラクターになるには・大切なことは何?

ヨガインストラクター
お仕事で大切なこと

ヨガインストラクターとはヨガを教える職業です。1990年代のヨガブームと共にその活躍の場は広がり続けています。
ヨガスタジオやトレーニングジム、カルチャー教室や病院や保育園、小学校などインストラクターの活動の場所はさまざまです。
教える相手や場所によって何を教えるか(メニュー)が変わってきます。おおよそ1レッスンは45分~90分で設定されることが多くなります。もちろん、子どもや高齢者向けのレッスンは短時間で行う事もあります。
1レッスンの中で20ポーズ~50ポーズというようにたくさんのポーズを指導していきます。ポーズとポーズの間に短い休憩を入れたり、ポーズの説明を挟んだり、呼吸法を練習したり、メディテーションを挟むこともあります。
ですから、ポーズだけ出来ればよいというわけではなく、ヨガの幅広い知識がインストラクターの腕の見せ所になってきます。
ヨガインストラクターは生徒さんが来られるより前に現場に入り準備を行います。生徒さんが心地よくレッスンができるように清掃をしたりヨガマットをチェックしたりします。
また、室温が適当かどうか事前に調整しておきます。基本的にインストラクターは動きやすく、ポーズや動きを見せやすい服装をします。ですが、肌やボディラインを見せることが目的ではないので不快感のない程度の服装が良いと思います。
指導をするとき、現場により生声の場合とマイクを使用する場合があります。生徒さんが多く部屋が広いと生声では通りにくく、大声を出すだけで疲れてしまう事もあります。マイクが使えるかどうかは事前に確認しておくと良いでしょう。
ヨガインストラクターは前でポーズを見せるばかりが仕事ではありません。生徒さんのポーズをしっかりと見て、問題があれば補正をするなど、的確なアドバイスをしなければいけません。
そのため一か所に立ち止まらず室内をぐるぐると歩きながら一人一人の生徒さんに目を配ります。
ポーズの説明をインストラクションと言いますが、インストラクションをしながら歩き、生徒さんのポーズを補正していくのです。
インストラクターはいつも同じ方向を向いているわけではありませんので、右左の概念にとらわれず指導ができなくてはいけないというのもポイントです。
さて、ヨガインストラクターのお仕事の醍醐味といえば・・ずばり一体感!例えるとコンサートの指揮者のような役割でしょうか。
生徒さんがヨガに夢中になれるクラスをつくることにやりがいと高揚感を感じます。人前に立つことが苦手・人前で話すことが苦手という方も多いのですが、私もその一人でした。
しかし、本当に良いクラスが提供できたと思える日は、人前に立っている感覚はないように思います。ヨガインストラクターは影役者であって、主役は生徒さんです。
ですから人前に立つというよりはサポートをさせていただくという気持ちで良いと思います。目立つことを目指すのではなく溶け込むこと。これにつきると思います。
ヨガのインストラクターは身体が軟らかくて引き締まった体という概念は良くありません。ヨガは誰でもできて、誰でも今より良くなれるもの。だからこそインストラクターには「誰でもできる間口」を広げてほしいと思います。
この先生なら私でも習えるかもしれないと思ってもらえることが大切です。インストラクターが「こんなすごいポーズができます!」と披露したところで生徒さんは気持ちが折れてしまうでしょう。
インストラクターは生徒さんのヨガをして気持ちよい!楽しい!をサポートすることに徹してほしいと思います。
資格を取得する

ヨガインストラクターになるために資格は必須ではありません。しかしながら、知識や経験が問われる職業です。ヨガを昨日始めた人が教えられるかというと残念ながらそうではありません。
私も長年ヨガを教えていますが、インストラクターができるか否かという分かれ目は「自信」の有無だと感じます。知識と経験を経てこそ自信がつきます。この自信をつけるために持つべきものが資格です。
また、資格を得るためにはヨガの基礎や指導者としてのメソッドを学びますので自然と「技術=自信」がついていきます。
では、どれくらい学び・経験すれば自信が付くのかというところですが、全米ヨガアライアンスのインストラクター資格であるRYT200であればおおよそ200時間の学びを経ることができます。
ヨガの資格の中でもとびぬけて長い時間しっかりと学ぶ資格講座です。
全米ヨガアライアンスは200時間の内訳を定めています。内訳には2種類あり、コンタクトアワーとノンコンタクトアワーといいます。
コンタクトアワーとは講師と接して学ぶ時間のこと。
ノンコンタクトアワーとは自主練習など一人で練習や勉強をする時間を言います。200時間のうち185時間はコンタクトアワーでないといけません。
しかし、現在はCOVID-19への対策として2023年末まではすべてのカリキュラムをオンラインで受講しても良いという対応をしています。
資格を取るのが大変になる?
実は2024年からはRYT資格を取得することが少し大変になってきます。現在は185時間を先生の指導の元学べばよかったのですが、2024年からは今よりプラス32時間の授業を受ける必要が出てきます。
ということは、全米ヨガアライアンス認定校でこれまで以上に勉強しないといけないという事。同時に資格取得講座のコース料金も値上がりする事でしょう。
長く多く学べるという点では良いのですがコストの面ではハードルが上がります。しかし改定にもメリットがあります。
それは一部の授業をオンラインで受けることを認めるというものでした。ただし、2023年末まではすべての授業をオンラインで受けても良いという対策が講じられていますし、受講料改定前の今のうちに受講しておくのがベストではないかと思います。
働き方

働き方を大きく分けると以下の4つに分かれます。
- 正社員
- パートタイム
- フリーランス
- 経営者
それぞれメリットやデメリットがあります。自分に合った働き方を選べるところもヨガインストラクターという職業の良いところです。
まず、優先順位を考えると良いと思います。例えば「固定給がほしい」が最優先なら正社員が良いでしょう。
「自由な時間に好きなところで働く」ことを優先するならフリーランスが良いでしょう。
正社員のデメリットはヨガを教えるという業務だけではなく、受付や清掃など別の業務も担う可能性が高いこと。フリーランスのデメリットは収入安定がしにくいということでしょうか。
仕事を取りに行くという姿勢や営業力も必要になってきます。フリーランスやパートタイムという働き方であれば副業としても十分成り立ちます。
ヨガインストラクターの資格を持っていれば、このようにいくつかの働き方を選択できますし、ライフスタイルにあわせて正社員からフリーランスへ、フリーランスから経営者へというように変化させることも可能です。
私は20代のころはフリーのインストラクターとして活動しました。
ダブルワークの時期もあったので週末ごとにヨガのイベントを開催していたころもありました。フットワークの軽さ、自由な時間がある方はいくらでも仕事を増やしていけると思います。
妊娠を機にマタニティヨガを教えるようになり、出産後は息子を携えてキッズヨガのクラスを担当しました。自分のライフスタイルを尊重しながら、仕事(ヨガインストラクター業)を生活に取り込んでいくイメージです。
仕事に左右されるのではなく、仕事を合わせていく。それができるのがヨガインストラクターというお仕事です。
収入
ヨガインストラクターの収入は実際のところどのようになっているのでしょう。これは先に述べた働き方に左右されてきます。
正社員であれば月収20万円~30万円から始まります。もちろん正社員なので拘束時間も長くなります。これに比べフリーランスは働けば働くほど稼ぐことができます。
また雇ってもらうスタジオとの契約になるので、3つのスタジオを掛け持ちしているとすれば、時給が1,500円のところもあれば、1レッスン7,000円というところもありますし、生徒一人あたり1,000円というところもあるでしょう。
参考になるかわかりませんが、私がフリーランスのインストラクターをしていたころは生徒さんにも恵まれ週に7本~10本(90分のレッスンを7回~10回)ほど担当して月30万円ほど稼いでいました。
また、フリーランスや経営者は市区町村や法人と契約することもあります。市のイベントやカルチャー教室、イベントなどでヨガを教える場合です。
こういった場合もそれぞれの契約に基づいてフィーが支払われます。フリーランスや経営者の場合はフィーの交渉も必要になってくるでしょう。
またフリーランスは個人事業主になりますので確定申告をしなければなりません。
昨今では副業を推進する企業も多くなってきました。ヨガインストラクターのお仕事は副業にとても適していると思います。
通常1レッスン単位で仕事ができますから、週に2本、レッスンをいれるだけでも月4万円程度の収入UPが見込めます。
これまでは生徒として月1万円くらい払っていたかもしれません。
ヨガインストラクターになれば自分の健康と美容のためにヨガをしながら収入を得ることができます。
わたしもレッスンがあった日は心身ともに大変調子が良いと感じます。仕事をしながら自分のケアができるのはこの仕事ならではだと痛感しています。
WITHコロナ

COVID-19はヨガを教えるものとしては大変な脅威でした。ヨガは五感をフルに使って行うものです。
インストラクターにとっても直視し触れる事がとても重要でした。それが非接触型となると、生徒さんから得られる情報が少なく、またインストラクターからの感覚的空間的プレゼンテーションが生徒さんに届かない。
そういった中でこれまでの対面式・接触型のヨガとは別に、新ジャンルとしてオンラインヨガが生まれました。
対面式・接触型と比べることはせず、新たなジャンルとして確立していこうとしています。オンラインヨガのメリットは外出しないで済むこと。
移動時間がいらないということもオンラインヨガが選ばれる理由だと思います。対面式のヨガは触れ合いやコミュニケーションを重視してきましたが、オンラインヨガは反対に触れ合わずコミュニケーションをとりたくないという人々に指示を得ているのです。
私たちの学校でもオンライン授業と対面授業を並行して開催しています。参加人数の統計を見てみると座学の授業では7割がオンライン、実技は5割がオンラインという結果になりました。
※アヤボディアーキテクチャーでは「補講受け放題」があるので卒業後も対面授業でブラッシュアップを受け続けることがでます。そのためコロナ禍の現在はオンライン授業への参加率が高いという理由もあります。
私たちはCOVID-19と共にヨガを続けられるように、またCOVID-19にとどまらずどんな情勢であってもヨガインストラクターという仕事が継続できるように知恵を持ち続けることが大切だと思います。

筆者 株式会社アヤボディアーキテクチャー 代表取締役 八木彩
「生活にフィットするヨガを」を理念にヨガインストラクター養成校を経営。
2007年以降、卒業生は数千人を超えました。卒業生が今のヨガ界をリードしています。