コラム

COLUMN

  • 2023/03/30

    リストラティブヨガの真実

    リストラティブヨガはアイアンガーヨガのように時間をかけて
    体と向き合うヨガです。
    リストラティブヨガは柔軟性や体力、体型、
    気力、性別、年齢などに関わらず、
    全ての人が取り組むことができるヨガといえるでしょう。
    リストラティブヨガインストラクター養成講座では
    究極のリラクゼーションのテクニックを学びます。
     

    深いリラクゼーションを与えてくれる
    癒しのリストラティブヨガ

    リストラティブヨガとは


    全身を複数のプロップス(補助道具)にゆだねた状態にして、
    ひとつのポーズを5~20分ほどキープすることで、
    体の動きだけでなく心もしずめて心身を回復状態に導くヨガです。
    1990年代に理学療法士でありアイアンガーヨガの正式認定指導者でもある、
    アメリカ出身のJudith Hanson Lasater先生が考案しました。



    リストラティブヨガの特徴

    アイアンガーヨガ*から派生して生まれたリストラティブヨガは、
    「ゆだねる」ことで心身の緊張を手放し、
    積極的な休息(アクティブリラクセーション)を行うことを目的にしています。

    そのため無理なくポーズをとれるように、
    ボルスター・ブロック・ブランケット・アイピロー・アイラップ・
    ベルト・サンドバッグなどのプロップス(補助道具)を十分に活用します。

    体に負担をかけない姿勢を長い時間ホールドして、深い呼吸を行うことは、
    自律神経をととのえて精神を深く安定させることにも繋がります。
    また自身の体の重さを感じながら自分の呼吸に意識を向けることで、
    脳に休息を与えて体と心を調和させる時間となります。


    *アイアンガーヨガ
    インド出身のB.K.S.アイアンガー師によって構築されたヨガのスタイルで、
    「アーサナ」と呼ばれるポーズを無理のない形で正しく習得し、
    体の歪みを正していくことを大きな目的としています。


    快適さと困難さ

    ヨーガ哲学の根本経典であるヨーガスートラには
    「アーサナとは、心身ともに安定し、快適な状態である」と記されています。

    リストラティブヨガは歴史の中では比較的新しいヨガですが、
    安定性と快適性を重視するという意味で
    「基本に忠実なヨガ」であるといえます。

    しかしながら、筋肉を伸ばし心拍数や血圧を低下させて、
    神経系を鎮めながら深いリラクセーションへと導く、
    受動的なプラクティスであるリストラティブポーズは、
    快適に感じる人が多い一方で困難さを感じる人がいることも事実です。
    ためしにここで、マットに横たわってみましょう。


    自分で体を支える必要がないのに、
    なぜか力が入っている部分はありませんか?

    その場所をゆるめようとしても逆に緊張してしまったり、
    なかなかうまくいかずに気持ちが焦ってしまうこともあるかもしれません。
    力を抜くことは、簡単なようでいて意外と難しいものです。

    またリストラティブポーズは
    「横になってリラックスするだけ」と思われがちですが、
    深い悲しみや無力感・焦燥感などのストレスを抱えた状態で
    体をゆるめると、落ち着かない・そわそわする・
    じっとしていられないなど感じることがあります。

    その理由の一つとして、
    身体的な動きが少なくなることで意識が自ずと内面に向き、
    根底に潜んでいる感情が浮上してきやすくなることが挙げられます。

    そして目を閉じること、体の前面や背面を大きく広げた状態で
    全身を弛緩させること、各部位の関節を緩めることは、
    身体面でも完全に無防備な状態を作り出します。

    そのような状態の中で深い瞑想状態に入ると
    身体感覚を失うような体感をおぼえるため、
    心が不安定なときに行うと不安や恐怖・不快感を感じる場合があるのです。


    快適に休息するためには

    しかしながら、不安や恐怖・不快感を引き起こす可能性があるから、
    というだけでリストラティブヨガを避けるのは、とてももったいないことです。
    なぜなら、実はストレスを抱えているときこそ、
    リストラティブヨガの回復効果を最も享受できる状態にあるからです。

    はじめは「落ち着かない」「じっとしていられない」と言っていた方でも、
    いくつかの工夫をすることで、徐々に快適に休息できるようになっていきます。

    そのためにはまず、リラクセーション反応の4要素である
    「静かな環境」「楽な姿勢」「意識を向ける対象」「受動的態度」を
    整えながら、自然に「何もしない」でいられる状態を作っていきます。

    そして、このとき最も大切なことは、
    大地と繋がる感覚・体を委ねる感覚をしっかりと感じてもらうことです。

    体幹部をプロップスでしっかりと支え、
    さらにブランケットやバスタオルなどを重ねて腕や脚・頭を支えると、
    体全体がサポートされているという感覚が得られやすくなり、
    体も心も安全を感じやすくなります。

    また、体の無防備感を軽減するために、
    例えば目は開けたままでも構いませんし、
    ブランケットを用いて暖かさや包まれている感覚を得たり、
    アイピローを手のひらにのせて安心感を得るといったような方法もあります。

    こうした工夫や調整をしながら練習を繰り返し行なっていくことにより、
    今の自分の精神状態を、客観的に把握する能力を
    身につけていくことができるでしょう。
    また、どんな精神状態にあってもグラウンディングする能力をも
    身につけていくことができるでしょう。

    そして、それらはマットの上でヨガに
    取り組んでいるときだけに限られるものではありません。

    日々の生活の中のあらゆる局面であらゆる感情が生じるときにも、
    それらを受け入れるためのツールとして、
    リストラティブヨガの要素を活用することが可能となっていくでしょう。

    (例えば、このような工夫を生活の場面に取り入れ、
    病院で一人きりになって行う種類の検査や、
    治療を乗り越えられた方も大勢おられます。


    「積極的に休む」ことの意義

    さて、私たちが現代において日常生活を送っていく中で
    「誰とも何とも繋がっていない時間」というのはどのくらいあるでしょうか?
    ある一日の、朝起きてからの自分の生活を思い浮かべてみましょう。


    時間に追われる中で、やらなければいけないことを同時進行で処理していく。
    次の予定を頭に思い浮かべながら、スケジュールをこなしていく。
    ちょっとした隙間時間にも、
    絶え間なく流れてくる膨大な量の情報にアクセスする。

    その内容によっては自分と比較をしたり、相手を評価したり、
    はたまた期待をしたりなど、いつの間にか気持ちを振り回されていたりもする。

    夜になっても煌々と明るい光のもとで、
    日中と同じようなペースで同じような作業をしている。
    いつの間にか眠って、いつの間にか朝が来て、
    自分を鼓舞しながらなんとか起床する。

    このように「常に何かと繋がっていて、
    常に覚醒を余儀なくされている状況」にはないでしょうか?

     繋がりというのは私たちにとってなくてはならない大切なものです。
    しかしながら、過度で過剰な繋がりであるがゆえに、
    その大切さが薄れてきてしまってはいないでしょうか。

    また、誰かや何かと繋がることに精一杯で、
    肝心の自分自身との繋がりは疎かにはしてしまってはいないでしょうか。

    日常生活が忙しすぎると、効率的であることを優先して
    休む時間がもったいないと感じたり、そもそも休みを必要としている
    自分の状況に気づくことすら難しくなったりします。

    しかしながら、
    常に何かをしている状態・何かを考えている状態(Doing)から、
    ただそこにいる状態(Being)を味わう時間を持つことは、
    忙しいと感じている人にこそ大切です。


    百聞は一見にしかず、です。
    リストラティブヨガを試してみましょう。

    じっとしているだけで何も生み出さないように思える時間が、
    実は心身に大きな効果をもたらすことを、
    リストラティブヨガを通して体感してみましょう。

    それぞれの人のそのときどきの状態にあった微調整をしてもらえること、
    プロップスを十分に使用できることなどを考慮し、
    まずはじめはぜひ専門のインストラクターのもとで
    「積極的な休息」を体験されることをお勧めします。




    大切にされる存在である私を思い出す

    突然ですが、皆さんは日常生活の中で
    「自分は大切にされているな」と感じる機会はどのくらいありますか?

    子供のときと比べ、大人になるとそのような機会は
    ほとんどないと感じる方も多いかもしれません。

    リストラティブヨガは、深いリラクセーションや回復を促す
    といった効果だけでなく、自分が大事にされて守られている
    という感覚をも得られるように組み立てられています。

    自分で自分のことを大切に扱うという方法で、
    リストラティブヨガに取り組むことももちろんできますが、
    ときには信頼できる誰かに、自分の心身を委ねて
    リストラティブヨガに取り組んでみることで、
    大切に扱われる存在である自分を改めて思い出すこともできるでしょう。
    なぜなら、先に記載したように
    「受動的」であることはリラクセーションの大切な要素であるからです。


    そしてそのとき、委ね先であるインストラクターのあり方が
    受け手に大きな影響を及ぼすのが、
    リストラティブヨガの興味深いところでもあります。
    例えば、人とリラックスを共有するためには、
    まずは自分がリラックスした状態にある必要があります。


    以前私は、リストラティブヨガのクラスで
    生徒さんのポーズを完成させた後、ホールドをしている数分の間に、
    気にかかっていた事務作業を済ませことがありました。

    生徒さんはアイピローをされており、
    もちろん見られていたわけでもないですし、
    音を立てていたわけでもないのですが、
    終わったあとで生徒さんは「なんでかわからないんですけど、
    今日はいつもよりちょっと落ち着かない感じがしたんですよね・・・」
    と言って帰って行かれました。

    また別の日、今度は程よい距離の場所で生徒さんを見守りつつ、
    私自身も快適な姿勢をとっていたところ、
    帰り際に「今日はとてもゆっくりと体をあずけられる感じがして、
    とても安心感がありました」と教えてくださりました。

    そして実はそのクラスの時間中、
    私自身もとてもゆったりとリラックスした、
    心地よい感覚をたっぷりと味わっていたのです。

    リストラティブヨガの受け手である生徒さんと、
    そのインストラクターの相互作用がうまくはたらいているとき、
    支える側・支えられる側という役割は循環し続け、
    そのうちにその役割はなくなっていきます。

    ポリヴェーガル理論では、
    「他者と関わる神経である社会神経系が機能しているときに
    ゆったりと落ち着いた状態になり、自律神経のバランスが整う」
    ということが示されていますが、
    生徒さんのみならずインストラクターまでもが
    そうした要素を最大限に享受できるということも、
    リストラティブヨガの大きな特徴です。


    近年リストラティブヨガの需要が拡大しているのも、
    リストラティブヨガを更に深く学びたいというインストラクターが
    増えているのも、そうした経験を共有したいと
    感じる人が増えているからなのかもしれません。


    リストラティブヨガのエッセンスを取り入れる

    このような特徴を持つリストラティブヨガは、
    単独でのクラスももちろんありますが、どのような種類のヨガの
    クラスにでもそのエッセンスを組み込んでいくことができます。


    アクティブなヨガクラスの後半にリストラティブポーズを入れる、
    リラックス系のヨガクラスでプロップスを十分に活用することで
    いつもよりホールドの時間を長く調整する、
    最後のシャバアサナをリストラティブヨガの基本ポーズに代替えする、
    そのほか様々な形で、
    その要素をクラスの中で活用していくことができるでしょう。


    さらにはマットを降りた日常生活の場面でも、
    それらの要素を活用していくことができます。


    それはリストラティブヨガが単なる
    「プロップスを使用したポーズの組み立て方」の習得ではなく、
    自分や相手を思う気持ちや自分や相手との信頼関係をベースにした
    「あり方」を習得していくヨガだからです。


    皆さんが日常的に取り組まれているヨガのポーズの練習の中に、
    ぜひリストラティブヨガの要素を取り入れてみてください。
    実践を積み重ねていくことで、さらに一歩先の「自分のあり方」
    への練習に繋げていってもらえることを願っています。


    著者:松原昌代

    看護師(マギーズ東京看護師、リラクセーションプログラム担当)
    ・保健師 ・RYT500 ・RPYT ・RCYT

    看護師としてがん専門病院に18年勤務、
    その後漢方内科にて中医学を学びました。
    自身の心身調整のために行っていたヨガは
    体調を崩されている方にも有益であることを確信し、
    現在はがん患者さんやご家族をはじめとした
    様々な方へオーダーメイドでヨガをお伝えしています。
    また医療の現場とヨガをつなぐ活動の一環として、
    医療者のセルフケアとしてのヨガクラスも提供しています。

    School

    アヤボディアーキテクチャーは東京校、神戸校、名古屋校、福岡校の4校で授業を行っています。またオンライン校での授業もご参加いただくことができます。週末だけ神戸校へということもできます。各校に専門講師がたくさん所属しています。例えばアロマヨガインストラクター養成講座は福岡校と神戸校では講師が異なります。

    そのためカリキュラムも違ってくる。講師の数だけカリキュラムも異なるということ。ヨガは指導者が異なることに新しい学びや発見があります。同じようにヨガインストラクター養成講座に通われているメンバー(生徒様)が毎回異なることで新たな経験や学びがあるのです。アヤボディアーキテクチャーの授業はいつも違ったメンバー(生徒様)が集います。受講関数やレベルもまちまち。その多様性が応用力や柔軟性を養ってくれていると日々講座を通して実感しています。

    Videos

    動画で見る学校紹介

    「授業はどんな感じ?」「先生は?」「初心者でも大丈夫?」など、学校紹介動画を見れば不安が解消します。
    アヤボディアーキテクチャーのヨガインストラクター養成講座は少人数制で、テーマごとに、みんなのアイデアを持ち寄って進めていく授業は、”講義”ではなく、まさに”研究”です。
    だから、2回として同じ授業は出来ない。2回として同じ答えは出ないんです。私たちは個性を尊重し、個性を伸ばす授業をしています。十代の生徒様もいれば定年退職後にチャレンジされた生徒様もいます。職業や経歴もまちまち。ヨガの経験もゼロ~25年など幅広い方がヨガインストラクター養成講座に集っています。
    それぞれみんながアイデンティティや個性を生かしてヨガを深めること。経験や専門性にヨガをプラスアルファさせて新しいものを作り出していく。そんな多様性あふれる空間で、それぞれをヨガでつないでいく楽しさややりがいは参加してみないとわからないもの。そのほんの1シーンにはなりますが、実際の授業の様子や、講師先生のコメントを動画にしました。

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    AYA BODY ARCHITECTUREは、国際的なヨガ資格発行団体である「全米ヨガアライアンス」の正式認定校。インストラクター養成機関のパイオニアです。
    日常に取り入れてもらうためのレッスンから資格取得まで、ヨガに関してあらゆる面でサポートいたします。

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