ヨガポーズ解説<ポイントと効果>(6)
フロアに横になってから始まるポーズ「アパナアサナ、サランバサルバンガアサナ(ろうそくのポーズ)、セツバンダアサナ(橋のポーズ)、ハラアサナ(鋤のポーズ)、マツヤアサナ(魚のポーズ)、カルナピダアサナ、ガス抜きのポーズ」について解説します。
想像力豊かなポーズ解説
アパナアサナ
チャイルドポーズとも言います。
ゴロンと寝転がった上体で背中の丸みを楽しみながら
コロンコロンと揺れるポーズです。
リラックス効果が高いポーズでもありますが、
意識するポイントによって効果が異なってきます。
ポイント・・
・ 頭を浮かせるとき吐く
・ 息を止めない
・ 丸く小さくなる
効果・・
・ デトックス
・ リラックス
・ 胃腸の調整
・ ガス抜き
しっかりと足を引き寄せることで
より強くおなかに圧迫を加えることができます。
おなかに圧が加わればガス抜きの効果が高まります。
おなかの動きが悪いときはとても効果のあるポーズです。
しかし、ただ頭を上げて丸くなるのではなく、
しっかりと腹筋を使うことが大切です。
腹筋を収縮させて丸くなる意識を忘れないでください。
頭を浮かせる際に息を吐き、
ポーズをキープしている間は自然な鼻呼吸をします。
頭を床におろすときに息を吸うようにしてみましょう。
バリエーションとして、足を抱えずに、
両手で足指をもって赤ちゃんが遊んでいるようなポーズもあります。
セツバンダアサナ
私の大好きなポーズの一つです。
このポーズだけでも全身がすっきりとし、
心まで晴れ渡るような気持ちになれます。
できるだけ効果は最大限得てもらいたいので、
ポイントをしっかりと抑えて練習してみてください。
最も意識をするところは腕と肩甲骨です。意外な感じがしますよね。
ポイント・・
・ 上腕を外旋させて体の下に敷く
・ 肩甲骨を寄せておく
・ 腕で床を押す力を使う
・ 膝が平行をキープ
効果・・
・ 内臓の位置修正
・ 骨盤底筋群の強化
・ 尿漏れ対策
・ 逆子直し
まず仰向けでスタートします。
この時に腕は延ばしたまま体の下にしっかりとしまい込むこと。
腕が見えないようにしまってしまいます。
しまうことによって、上腕は外旋し肩甲骨が中央に寄ります。
同時に胸がしっかりと開きます。
足は腰幅に開いて膝が外をむかないように、
意識して内転筋(内もも)を使います。
息を吸いながら腰を浮かしていきます。
少し浮いたらもうひとつ強く腕をしまい込むようにしましょう。
楽に腰が上がるようになります。
腕で床を押しているので極端に足が疲れることはありません。
サランバサルバンガアサナ
重力をさかさまに感じるポーズです。
難しそうに見えますがコツをつかめば単純なポーズでもあります。
まずは肩甲骨や肩回りを柔らかくしてましょう。
ショルダースタンドといわれるだけあって
肩(肩甲骨)を床にして逆立ちします。
肩甲骨が寄せられないと平らな床はできませんのでポーズが安定しません。
ポイント・・
・ 上腕を外旋する
・ 肩甲骨を寄せる
・ 腹筋や体幹を意識する
・ 骨盤底筋を使う
効果・・
・ 血圧のコントロール
・ 内臓のリフレッシュ
・ 精神を休める
・ 血流改善
・ 尿漏れ改善
上にも述べたように肩甲骨を寄せて肩を土台にすることから始まります。
肩甲骨を寄せられないと猫背の状態ですから、
背中も肩も丸くなってしまいます。
そうなると土台としては安定しません。
肩甲骨をしっかり寄せられるように
事前練習しておくほうがより快適にポーズに入れます。
全段階としてはセツバンダアサナがお勧めです。
足を上げていくときはしっかりと腹筋を縮めて力を入れます。
吸うタイミングで足を持ち上げ、
足先が空高く一直線になるように引き上げます。
この時に内ももの筋肉や骨盤底筋といって、
トイレを我慢するときの筋肉を意識すると良いでしょう。
上げた足を縦横に開いたり、両膝をおでこに乗せて休ませたり、
いろいろなバリエーションが楽しめるポーズでもあります。
ハラアサナ
この前のポーズで説明したサランバサルバンガアサナから、
足を頭のほうへ下ろしていくポーズです。
組み合わせて行うことが多いでしょう。
サランバサルバンガアサナで重要視した、
肩甲骨を寄せるというポイントですが、
これができていなければ足は頭の向こうへ届きません。
写真を見てもらうとわかるように、
上半身は肩からお尻まで垂直に立つことが理想です。
ポイント・・
・ 肩甲骨を寄せる
・ 肩からお尻まで直線
・ 腕の力を使う
効果・・
・ 内臓のリフレッシュ
・ 肩甲骨や肩の柔軟
・ 血圧コントロール
肩甲骨が柔らかくなってくると
上半身を垂直に立てることができるようになってきます。
一度体を起こしたときに、もう一度改めて
上腕を巻き込むようにするとさらに肩甲骨が中央に寄ってくれます。
腕全体で床を押すと上へ伸びる力が加わり、
上半身を起立させやすくなるでしょう。
当面は両手を腰に当ててサポートした形で練習することをお勧めします。
カルナピダアサナ
ハラアサナから膝を緩めて顔をはさむようなポーズです。
サランバサルバンガアサナ、ハラアサナ、カルナピダアサナと
連続して行うとスムーズです。
しっかりと上半身が直立していないと内臓が圧迫されてしまいます。
肩甲骨が寄せられずに
上半身が直立しない間はやめておいたほうがよいでしょう。
前段階のハラアサナ、サランバサルバンガアサナやハラアサナを練習し、
十分に肩甲骨が寄せられるようになってから練習しましょう。
ポイント・・
・ 肩甲骨が寄せられていること
・腹筋を使う
・おなかをつぶさない
・腰を伸ばす
・上半身が垂直
効果・・
・ 肩甲骨回りの柔軟
・ リラックス
・ 血圧コントロール
「足をどこまで床におろせるか、顔の横までくるか」
を競うポーズではありません。
このようなことを目標にしてしまうと
本来使うべきところがおざなりになってしまい目的を達成できません。
最大の目標は上半身が垂直に立つことです。
垂直に立てばあとは足を緩めるだけ。それだけのポーズです。
足をどこまで下せるかと意識してしまうと
骨盤が下がってしまいお腹がつぶれ内臓が圧迫されます。
おなかが伸びていること、背骨が伸びていることを理想とします。
マツヤアサナ
首に不安のある方は注意してほしいポーズです。
しかし適切に行うと首を痛めるようなポーズではありません。
仰向けになった状態で上腕を巻き込むようにして体の下に敷きます。
写真では腕は体側に出ているように見えますが、
ポーズのスタート時点では腕は完全に体の下にあります。
そして腕(肘)で床を押す力で胸を引き上げます。
首は全く使うことはありません。
ポイント・・
・ 腕の力を使う
・ 胸を引き起こす
・ 肩をしまい込む
効果・・
・ 深い呼吸
・ 首や顔、デコルテのストレッチ
・ 内臓のリフレッシュ
・ 頭部のマッサージ
腕の力強さによって胸を引き上げることができます。
ろっ骨を立ち上げて垂直に置きなおすイメージです。
首(頸椎)が圧迫されている感覚があれば間違いです。
腕の力だけでろっ骨も頭部も完全に宙に浮かせてみます。
そこから顎を天井に向かって引き上げます。
自然と頭が倒れてくるので、
首に圧迫がないところを見つけて登頂を床に卸します。
同時に骨盤も立ち上がり、座骨(お尻の骨)が、
床につきささっているような感じになります。
骨盤が立ち上がると背骨のアーチがうまく作れます。
アーチによって重みは分散されますので、
頭が痛いとか首が圧迫されるということはありません。
筆者 株式会社アヤボディアーキテクチャー代表取締役 橋本彩
「生活にフィットするヨガを」を理念にヨガインストラクター養成校を経営。
2007年以降、卒業生は数千人を超えました。卒業生が今のヨガ界をリードしています。