マタニティヨガの効果
マタニティヨガと産後ヨガの効果やポイント、そしてマタニティヨガポーズの練習方法と指導法について解説します。マタニティヨガインストラクター資格のRPYTを取得しようか?と考えている方。マタニティヨガは妊婦さんだけを対象としたものではありません。全年代の女性をサポートするヨガなのです。
マタニティヨガの効果
マタニティヨガが効く
妊婦さんのお悩みに答えるのがマタニティヨガです。代表的なお悩み別に説明していきたいと思います。ポーズ例をあげていますがこれはほんの一例です。また、マタニティヨガはポーズをじっとホールドしているだけではなく前後に揺すったり回したりという動きを伴うことがあります。
・腰痛
おなかのふくらみと共に腰が反る傾向にあり腰痛がひどくなることがあります。腰回りの緊張をほぐすポーズが効果的です。反りとは逆のポーズを取り入れてみましょう。背中をほぐす猫のポーズや下向きの犬のポーズがおすすめです。
・あしのだるさ
おなかが大きくなると鼠径部を圧迫するようになります。鼠径部から下腿への血流やリンパの流れが悪くなり足がむくんだりだるく感じるようになります。そのような時は、壁に脚をあげていくろうそくのポーズが効果的です。おしりは床においたままで足だけを壁へ上げていきます。
・骨盤の不安定さ
妊娠の経過とともに腰回りがゆらゆらするような違和感を感じることがあります。腰を回したり骨盤を前傾させたり後継させる動きをしてみましょう。両手を腰に当て、へそが下を向く・へそが空を向くという動きを繰り返します。
・鬱
鬱というとおおげさですが理由もなく気持ちが落ち込むことがあります。また、過剰な不安に襲われたりすることも。そういったときは静かなヨガの時間が心の平穏を取り戻してくれます。呼吸を整えて、呼吸のタイミングに合わせてポーズをとると交感神経と副交感神経のバランスが整い精神状態が安定します。自然と幸せな満たされた気分になってきます。
・安産
出産という行為は消して怖いものではありません。自分のからだを上手く使えば最小限の痛みと疲労で出産することができます。これは私の経験からですが、上手に痛みを逃がすことができれば陣痛は乗り越えられます。そのためには呼吸法を練習しておくこと。陣痛の激しい波が来た時にしっかりと息を吐きます。また、腹筋や産道まわりが激しく波打ちますが、その周辺を固めないということです。痛いからといって痛みに耐えるように力んでしまうと産道が固まり赤ちゃんが下りて来辛くなってしまいます。
体の使い方がわかっていないと意識的に力を抜くということができません。出産に向けて自分のからだを知ること。特に力をいれる・ぬくという練習をしておくことが大切です。
産後のマタニティヨガ
ヨガは産前から産後へと続きます。出産後の女性の体はもっともリセットが効く状態になっています。骨盤周りの筋力も悲しいことにリセットされて骨盤は不安定な状態です。
ですが、このリセット期間をうまく利用すればこれまで以上に快適なからだを手に入れることができるチャンスでもあるのです。骨や関節・筋肉もしっかりとしていませんので、急に無理することなくゆっくりとヨガを始めていきます。
産後のヨガは、骨盤を安定させ、失った筋力を少しずつ戻していくことに集中します。これをしてはいけないというポーズはありません。
また、産後は赤ちゃんのお世話で自分の事はほったらかしの状態になってしまいがち。気づかないうちに心も体も疲弊していたりします。
赤ちゃんを抱いたまま取れるポーズもあるので、呼吸としっかり向かい合い、自分の体の様子をうかがう時間を設けてほしいと思います。
そういったママのために私たちのマタニティヨガインストラクター養成講座では1歳までのあかちゃんと一緒に受講することができます。
マタニティヨガと普通のヨガの違い
さて、マタニティヨガと普通のヨガの違いは一体どこにあるのか。ヨガのポーズが違うのか?と思いがちですが、そうではありません。行う事(ヨガのポーズ)は同じなのですが、気をつけるところが増えるというだけです。
気を付けるポイントさえ押さえておけば妊婦さんもヨガができます。すなわち妊婦さんがするヨガが「マタニティヨガ」と名前が変わるだけ。(妊娠経過が順調であり医師に運動を止められていない方に限ります。)
一般的には運動は安定期に入ってからという考え方ですが、妊娠前もヨガをしていた・運動すると調子がいいとかありますよね。マタニティヨガも自分の特性に合わせて行うべきだと思います。
この自分を理解することがとても大事なのですが、妊娠すると何もかも不安になるもの。初めての経験ならなおさらです。「・・これはやっていいのかな?」「・・は食べていいのかな?」「・・した方がいいのかな?」といろんなところで慎重になるのもわかります。
自分の考えに自信を持てない間はやめておきましょう。妊娠初期から中期へと進み、妊娠の経験が長くなってくると傾向が読めるようになり、自分の体の様子がわかってきます。そうなってくるとヨガをしても良いかも判断できるようになってくると思います。不安な方はお医者様など専門家に相談してみて下さい。
妊婦さんが気を付けるところ
妊婦さんがヨガをするとき気を付けることはとてもシンプルです。
・呼吸が穏やかであること
・おなかを圧迫しない
・ポーズをゆるめる
まず、呼吸が穏やかであることです。呼吸は「無理しています度」を知るためにとても有効です。呼吸が浅い・早い・止まるなどは、身体が悲鳴を上げている状態です。心で言えばとてもストレス度が高い状態です。妊婦さんにおいては息が上がったり、息が止まってしまようなポーズはしないでほしいと思います。要するに、ポーズありきではなく呼吸の方に集中をして、呼吸が浅く早くなってきたらポーズを楽にするか休憩をしましょう。
次におなかを圧迫しないこと。ヨガのポーズにはお腹を押したり、おなかに圧をかけるポーズが存在します。例えば前屈のポーズがそうです。このようなポーズはできるだけ省くか、行うとしても圧がかからない程度に調整してください。前屈のポーズなどは、大きなクッションを抱えながらするというのもアイデアです。中でもおなかで床を押しながら背筋を鍛えるようなポーズはしてはいけません。うつぶせのポーズは全て避けましょう。
最後にポーズを緩めることです。ヨガのポーズはバランス感覚が必要なものが多くあります。しかしながら妊婦さんはおなかが大きくバランスがとりにくい体系なので、思っている以上にふらつきが生じます。転倒の危険性もあるため、ポーズが安定するように足幅を広めにとり踏ん張りが効くようにします。
簡単に言うと、ポーズを幅広にするということです。壁伝いにポーズをとってみたり、片手を壁に当てて安心できる状態でポーズをとるという方法もあります。そのため、妊婦さんのヨガは壁・椅子・クッション・ブロック・ベルトなどいろんなグッズが役立ちます。このようなサポートグッズがあるだけで安心とリラックスをしながらヨガが楽しめます。
マタニティヨガインストラクター養成講座
マタニティヨガというと「妊婦さん」に限定されているように思います。一般的なクラスは妊婦さん向けのクラスとして提供しているところが多いように思います。しかしながら、私たちの学校ではマタニティヨガ=女性のためのヨガとして、より広い分野で女性とヨガについて学んでいくようにカテゴリしています。
というのも、「マタニティヨガをやっています」と集客しても集まるのは安定期に入った妊婦さんが数人。週1で数回レッスンをしたらもう予定日が目前ということになり、すぐに「レッスン卒業」になっちゃうわけです。これではヨガの良さを伝えきれませんし、安産に向けての体作りも間に合わないことになってしまうのです。
マタニティヨガインストラクター養成講座では、女性の体の仕組みや、不調やトラブルへの対処方法、妊娠のメカニズム(何がどう変化するの?・妊娠のステージに合わせた対処方法)産後のメンテナンスや、赤ちゃんをあやしながらできるヨガなどを学びます。
また、ヨガを通して予防し、軽減し、より快適に生活する知恵を学びます。私自身もこれらの知恵が身に付いていたので妊娠中の大きな不安やトラブルもなく、出産時の安産テクニックもばっちり。産後のダメージなく2時間で出産することができました。いつも知識はお守りになります。
知らないことに対しては不安だし恐怖を感じたりするけれど、知っていれば臆する事はないのです。何か問題があった時にもそれらの知恵が今やるべきことを教えてくれます。
大切なのは「生理・妊娠・出産・産後」などのイベントに対応する知識やテクニックを事前に身に着ける事だと思います。ですから、できるだけ早期(若いころ)にこれらの勉強をしていると人生のより長い時間を快適に過ごすことができます。
気づかれていると思いますが、私たちのマタニティヨガインストラクター講座は決してインストラクターを目指す方だけのものではないということ。また性別を問わず学んでおいてほしい内容なのです。
マタニティヨガの指導者として
さて、普通のヨガインストラクターとマタニティヨガインストラクターを比べると異なるところはどこでしょう。実は大きな差はないのです。
簡単に言うとマタニティヨガインストラクターは、普通のポーズをより簡単に作り直して、おなかを圧迫するポーズを省く、これだけです。
ということは、、普通のポーズのことを理解してからマタニティヨガを学ぶ方が理にかなっています。例えば、ダウンドック(下向きの犬のポーズ)をするとき、普通のポーズよりも手の幅と足の幅を大きめに開きます。(肩幅や腰幅よりも少し開き気味・指先が外を向いていてもOK・膝をまげてもOK)そうするとポーズに安定感が増します。
このようにして、普通のポーズをより安定化させてやる。安定化させるためにプロップスなどのグッズを使うこともします。
転倒したりつまずいたりすることを避けたいので片手は常に壁に当てたままとか、足上げポーズは壁伝いに、とか。 マタニティヨガになるから難しいのではなく、簡素化させる・安定化させるテクニックを身に付けるイメージです。
筆者 株式会社アヤボディアーキテクチャー代表取締役 橋本彩
「生活にフィットするヨガを」を理念にヨガインストラクター養成校を経営。
2007年以降、卒業生は数千人を超えました。卒業生が今のヨガ界をリードしています。